2011年12月21日水曜日

模型業界のこと。考えていること。

出戻って数ヶ月の40男が、 模型業界についてうんちくを傾けるなんてことは、 大変口幅ったい感じもして、今まで躊躇してきたのだが、「今後の「初心者向け記事」の概要として、必要ではあるまいか?」と考えて、思い切って書いてみることにした。

まずは、昔話。
私は、小学生の頃からプラモデル作りを始めた。
当たり前だが、初めはただ作る、接着するだけ、一日みっちり掛ければ大抵のプラモデルは完成した。
小学生の後半から、塗装をしてみることに。同時に、タミヤのミリタリーシリーズがめちゃくちゃかっこよく、魅力的に見えたので、「タミヤミリタリーミニチュアシリーズ」にはまる。
中学生になった頃には、一通りの塗料や道具も揃って、パッケージに指示されているとおりの塗装が出来るように。
ガンダムのプラモデルが登場し、一通り作ったがそれまで。プラモデルを作って「それで遊びたい」っていう年齢じゃなくなっていたんだな~。
中学に入ると、当然他に興味が向く物が多くなって、プラモデルを作る時間は圧倒的に減っていったが、それでも、フィギュアの目が塗れるくらいになり、塗装も「別に指示通りに塗らなくっていいんだ。」と気づき始める。

高校になると、ますます興味は離れるが、同時に行動範囲が広がっているので、大きな模型屋さんに出入りできるようになった。

でも、おおよそ高校卒業し、引っ越ししてみたり、女の子とつきあったりいろんな事をしている間にプラモデルは全く作らなくなった。
「子供の遊びから卒業した」ような感じだったのかな?

たぶん、この私のプラモデルとの付き合いは、当時のプラモデルの隆盛と同じ流れだったのではないか?というのが、私の印象。

時代は一時のプラモデルブーム的な感じだった。たぶん、中学の同級生でプラモデルを作ったこと無いっていうひとはほとんどいなかったと思うし、その中には私と同じようにミリタリーやってるヤツもいたんだよね。私の住んでいる秋田の田舎ですら!!

その後全くプラモデル業界には触れなかった。大人になって普通に暮らし、いろんな女の子とつきあったりして、結婚して、子供が出来た。

まあ、ひょんなきっかけから、プラモデル業界に舞い戻ってきたわけだが、正直、驚いたというか、全く違うというか、時代の潮流とはこういうものか!という感じで今プラモデルを作っている。



思うのは「この衰退ぶり!!」。

衰退した理由には、いろいろな要因が考えられるだろう。一番簡単に目に付く要因は「ヴィデオゲーム業界の台頭」か?
それもあるかも、でも、ヴィデオゲームによって奪われた時間によりダメージを受けるのは、すべてのホビー業界で、プラモ業界だけではあるまい。
普通にがんばって生き残っているホビー業界もあるのでは?
私が今主張したいのは「時代の流れ、だけでなく、プラモ業界側にも問題があるのでは?」ということだ。

私はプラモデルを離れて長かったが、別にノンベンダラリと他の遊びにうつつをぬかしてワケではなく、それなりに普通の大人として、色々勉強してきたつもりだ。

そんな中で、「滅んだ業界」、「風前の灯火」の業界というのも見てきた。
で、「それらに共通する要素をプラモデル業界も持っているのではないか?」というのが今回の提案。

それは、「壊れたピラミッド構造」だ。
「ピラミッド構造」といえばおおよその人がだいたい想像付くと思おうが、「三角形の上の頂点にいるいる人は階級が高いが、数が少ない。」、「下の辺近くにいる人は、数は多いが、階級が低い。」というあれである。

全ての、ホビー、スポーツなどにはこの図式が当てはまる。
「頂点近くの人」がエキスパートで、「底辺近くの人」が、「ビギナー(初心者)」だ。
この三角形を山にたとえるなら、裾野はより広い方が良い。ビギナーが多く、エキスパートが少ない。「富士山」のような綺麗な山形になるのが理想だ。

よりわかりやすく言うと、一握りのエキスパートが、存在し、それにあこがれ、そういう技術を持ちたいという中級者がその数倍存在。
さらにそれら中級者や、エキスパートにあこがれる「初級者」「初心者」がその数倍いるのが、理想だ。

この形状が保たれると、変な言い方だが、エキスパート、インターミディエット(中級者)の補充が利くのがいい。過剰な補充は富士山の標高を下げる事になるが、その位置にいきたい人は沢山いるだろうし、「地位が人を作っていく」という要素もある。

ところが、富士山の裾野の長さはどうあれ、この三角形がいびつな形になると、たちまち業界は立ちゆかなくなる。
つねに、「上級者を目指す初級者」、「初級者に崇拝、尊敬される上級者」がないと業界はうまい具合に回転していかない。
こうなる原因は、多くの場合「初級者を支えていこうという考えのない上級者、指導者」、「自分の技術のことしか考えない上級者」の存在であると私は思う。



プラモデル業界は無くなる業界ではないのかも知れないが、このままでは衰退の一方ではないか?と私は思う。
同時に、プラモデル、模型業界が活性していくためには、今いる「上級者、指導者」たちのスキルUPより、より多くの初級者、初心者を獲得する必要があると思うのだ。

もちろん、「上級者が自分のスキルアップを目指すことを悪い」と言いたいわけではない。初心者に「自分もこんなモデルが作りたい!」と思わせる上級者の作品があったり、それが目に触れる機会が増えることも重要だ。

ただ、とにかくディテール追求型のいくつかの模型や、「エッチングパーツでディテールアップしないとね~」みたいな風潮には問題があるような気がする。
いや、それで、作品の品質を上げるのは多いに結構だが、結果的に、「なんだよ、その程度の作品でプラモデル作ったつもりかよ」みたいな風潮にはならないように気をつけて欲しいということだ。

私は個人的には、プラモデルは「作って楽しい」「遊んで楽しい」のが基本で、塗装なんてする必要はないと思う。私の子供の時みたいに接着するだけ、「おー、かっこいいー」って思えればそれで良いのだ。
出来上がった物で遊んだり、眺めたりして、また、人の作品を目にしたりしている内に、「もっとリアルに作れるんだ。」、「リアルになればもっと格好いいんだ。」と思ったときに塗装を始めればそれで良いのだ。

そんなわけで、私も多くの新たな「モデラー」、あるいは「モデラー予備軍」達を支援したい。中級者達が、上級者になれるきっかけを作ってあげたい。若いモデラーが伸びる機会を与え支援したいと思っている。

わたしが、これまで書いた記事で、若いモデラーがやる気を出してくれたら本当に嬉しいし、これからもっと初心者を支援するような内容の記事も書いてみたい。
欲を言ったら、コンテストを主催してみるのも楽しいかもしれないなー(夢ですよ、あくまでも)。


おおよその、概要が分かってもらえただろうか?
自分がより模型を楽しんで、多くの人もまた模型を楽しみ、新たに挑戦してみたいという人が増え、業界が活性していったら、とても楽しい、すてきなプラモデル業界になると私は思う。

何の作品もお見せしてないのに、大口を利いて申し訳ない気持ちも大きいのだが、概要が分かって頂けたろうか?

長文申し訳なく、ここまで読んでくれた人に感謝したい。


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5 件のコメント:

  1. こんにちは。初めまして。
    私も、高校生で模型を作っていますが全くその通りだと思います。
    模型業界の衰退化・・少子高齢化が進み、後々取り返しが付かなくなります。細かく精密に出来た模型もいいですが、子供はそこまでを求めていません。バンダイがガンプラで子供心をとらえるのは、やはり、作りやすさと楽しさなんでしょうね。

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  2. 麦イチゴさん、コメントありがとうございます。長文で誰も読んでくれないと思っていたので、レスポンス、そして賛同を頂けるのはとても嬉しいです。
    私が初めて作った「ガンプラ」は「ザク」であったように記憶していますが、胸部、足のブラック(グレイ?)は塗装しないといけなかったように記憶しています。しかし、その後は色違いパーツによって構成される改良がなされます。
    バンダイのプラモデルは徹底して「塗装なしでも見栄えが良い」ことを追求して作られており、初心者の取り込みに大いに貢献しています。
    「ガンプラ」が人気がある理由は単純に「ガンダム」というキャラクターの魅力だけではなく、こういった企業努力が大きいのではないでしょうか?
    ブログ見させてもらいました。とても上手でびっくり!実は私もエイブラムスを購入済みで、次作で登場の予定です。負けないようにがんばりますよ。
    またブログの方遊びに行かせてもらいますよ!

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  3. 上級者の作品を見て初心者が作ることに対して躊躇しているように感じられます、また模型業界も上級者のレベルに合わせた商品展開をして間口を狭めた結果このような状態になったのではないでしょうか?ガンプラも色分けされ接着剤もいらない等、初心者にやさしく思われますが、部品数が増大しスナップフィットの為パーツが割れやすい等、子供、初心者にはやさしくありません、玩具業界の市場規模は6000億ぐらいありますが、プラモデル部門は400億ぐらい、年々
    縮小傾向にありフィギュア等の完成品の比率が高まってます、模型業界も対策を講じてますが、一度離れた顧客を呼び戻すか試行錯誤しています。

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  4. 匿名さん、コメントありがとうございます。
    そうですね、完成品フィギュア業界の勢いを見ると、私のようなプラモデル世代は、不思議な感じがしたりもします。
    タミヤが1/35の完成品ミリタリフィギュアを出しているのも「そうじゃないだろ!」って突っ込みたくなりますね。
    全体的に「自分で作る」という面倒さよりも、より安易に手に入れられるものの需要が高まっている感じはしますが、それは、模型の進む道ではないような感じがします。
    模型業界ももちろん対策を考えてはいるでしょう。私も、「エキスパートモデラーが悪い」、「模型企業が悪い」と、紋切り型に誰かの責任を追及したいわけではありません。「じゃ、対策は?」って突っ込まれると返す言葉が無くなるのも事実ですしね。
    ただ、「作る楽しさ」をアピールし、接する機会をより広く模索していくことは、重要だと思います。
    家の子供達も「クリスマスは、LBX(ダンボール戦機)がほしい。」といっているし、この間は学校の理科で使った自作懐中電灯に夢中になっていました。
    人が本来持っている、「作る楽しさ」を眠らせることなく、つなげていくことが出来たら、需要は決して無くならない気はするのですが・・・。
    結論が無くて申し訳ありません。模型につきあっている人みんなで考え議論が出来たら有意義かと思います。

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  5. はじめして、  記事の内容にまったく同意です。
    ネットのプラモデルのサイトはほとんどが上級者がひらいているのが多く、それが初心者にしり込みさせているように思われます。 
    キットのまま追加工作なし、別売りパーツは使用しない、マーキングは塗装でなくデカールを使うでいいのでは。
    小学生並み(うまい人はこう言う)の出来栄えかもしれませんが、それでも作る楽しみはあるはず。
    素組みのコンテストなんてメーカーは歓迎しないのでしょうね。

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