2011年12月14日水曜日

パテについて2 (形成向け、エポキシパテについて)

前回の続きでパテの話題だが、今回は前回紹介しきれなかった「エポキシパテ」だけの話。

実は出戻り以前、エポキシパテで、造形を作り出すという作業はほとんどしたことがなかったのだが、ハンヴィー作成にあたり、オリジナルのフィギュアを作成したり、フィギュアのポーズを変更したり、はたまた、ハンヴィー搭載の荷物を作成したりする上で、エポキシパテによる造形は絶対的に必要な作業となり、自分なりに様々なエポキシパテを試し、使用している。

エポキシパテに必要な項目としては、

  • 硬化前の堅さが適当で、造形しやすいこと。
  • 程よい硬化時間。
  • 硬化後の堅さもまた適当で、ナイフ、ヤスリで形成しやすいこと。

となる。造形、整形においては堅さだけでなく「きめ」も重要になる。きめが粗いと細かい造作の表現力に影響するし、完成時の表面の美しさにも違いが出る。

今回紹介するエポキシパテは4種類。ホームセンターで手軽に手に入れられる、一般家庭用パテ、2種類と、模型用のエポキシパテ2種類である。




まずは、「セメダイン エポキシパテ金属用」というやつ。ハンビー搭載のスペアタイヤ(カバーされた)はこのパテで作った。
このパテは大変に特徴的なパテであった。製品のふれこみとしては、「金属のように堅くなる」、「10分速硬化型」。
まず、製品はプラスティックケースに入っており、保存には便利。また、セメダイン製品は皆そうなのだが、A剤を芯にして、B剤が周りにまかれた鉛筆のような構造になっている。
「接触面が反応しないのか?」と不安になるがそのようなこともなく、それぞれの剤の長さを気にしてカットしたりしないで済む。利用したい分、水平に切り取ればOKという優れものである。

最も特徴的だったのは10分速硬化型という点。エポキシパテで10分硬化というと、「速」どころか、「超速」の部類に入る。そして、実際この時間で硬化した。
硬化後はカチンカチン。かなり堅い。
面白いのは固まる1分くらい前に、ものすごい熱を発する点。火傷はしないかも知れないが、それくらい熱くなる。こんなに熱くなるパテは他に経験していない。

10分という長さは非常に微妙である。実際10分程度で硬化するので、10分後にはヤスリ掛けなどもできるので、間違いなく作業時間は短縮できるので魅力的ではあるが、同時に形成作業を10分以内に終わらせないといけない。
私が次のパテを求めた理由がこれ。実はハンビーのスペアタイヤを使って以来使っていない。

しかし、全然使えないかというとそうでもない。考えようによっては10分以内に終わらせられる単純な物を作るには結構良いのではないだろうか。10分後にはヤスリやカッターで整形できるので便利。そういう意味ではハンビーのスペアタイヤに利用したのは正解だったと言うことになる。

硬化後の堅さは後に登場の「タミヤ」と同程度。ただ、粒子がタミヤや他のパテに比べて粗い感じがした。カッターで削ると、「ジャリジャリ」と砂を含んでいるような印象があったが、加工しにくいわけではない。




次に試したのもホームセンターで手軽に入手可能な「セメダイン エポキシパテ プラ用 60分硬化型」である。
硬化時間がいきなり6倍になったが、その後の調査でこの長さが、「速硬化型」の一般的な時間で有ることを知った。イブライム伍長の多くのパーツをこのパテで作った。
このパテの特徴は硬化後の堅さがあまり堅くないという点。カチンカチンにはならず、若干の弾力が残る。形成後余ったパテを台の上に薄くのばして固め、カッターで細く削りだしても「ポキッ」と折れたりせず、ビニールテープのような弾力がある。イブライム伍長作成時も背中のベルトなどを付ける際に役だった。
この弾力は、人によって好みが分かれるかも知れない。「爪を立てると凹んでしまう形成物はその後の作業を考えると嫌だ。」という人も多いだろう。
実際、カッターで削り取るのは簡単で作業性がよいが、ルーターやヤスリで削ろうとすると、弾力性が仇になり、ボロボロと表面が崩れる。

作業中、指に張り付いたりして嫌な思いもしたが、作業性は悪くなかった。
ちなみに指や作業用の工具を水で濡らしながら作業すると、比較的付きにくく便利。

これは、私のミスかも知れないが、作業中に完全に混ざらない部分が中から出てきて、すごく苦労したのを覚えている。どんなエポキシパテでもそうかも知れないが、このパテを使用するときはよりしっかりと練った方が良さそうだ。



「一般向けはやっぱりダメだ。」という結論に達し、調査の結果、数ある模型用のエポキシパテの中で最も評判が良いと思われたのが、こちらの「ウェーブ エポキシパテ「軽量タイプ」」と「タミヤ エポキシパテ」の2つだったので両方購入した。
「軽量」がどれだけ魅力なのかは全く不明だが、ウェーブは他にも模型作成用の各種ツールを販売しているメーカーで信頼できるし、某サイトではこちらが一番のおすすめだった。
現在メインで使用中。
使用した感じとしては、非常にきめが細かい硬化後の堅さも理想的。この二つの特徴のおかげで、硬化後の作業、カッター、ヤスリでの作業は非常に楽で、美しく仕上がる。
きめの細かさのおかげと思われるがパテの上にパテを盛ったり、プラの上にパテを盛った際の、接着力というか、食いつきの良さも魅力的。「ヤスリで削っているうちにポロポロと取れてくる。」というようなことはまず無い。

しかし、たぶんこの「きめの細かさ」が仇になっていると思われるのだが、硬化前の柔らかい段階で、非常に手に付きやすいという欠点がある。
パテでの造形は「1発で全部仕上げる。」というやり方には無理があり、一部作ったら硬化させ、その上に細かい造形を乗せていくというやり方が主力になると思う。
後にいけばいくほど、少量のパテを乗せ造形することになるワケだがこの少量パテが、手にくっつき、道具にくっつき、手に負えなくなる傾向が強い。
この「ベタベタくっつく」傾向はどのパテも少なからずあるのだが、本製品は特に強く感じる。
「くっつくときには水で濡らす。」のがパテ形成の常道だが、本製品は、水を吸って柔らかくなる傾向がある。また、細かい部品は水を吸ってポロポロこぼれてくる場合もある。ますます、物体に張り付かず、手に張り付く傾向が強くなっていく、時としてウンザリしてくるのも事実。
良いパテなんだけどなー。



最後に紹介するのは「タミヤエポキシパテ」現在一押しと言える。ダン伍長の両腕はこのパテで作った。そんなに使っていないので評価の難しいところもあるのだが、「ウェーブ軽量」の「ベタベタ問題」で、メインに浮上しそうなパテである。
まず形成前の堅さだが、ウェーブ軽量より、やや堅い感じで、ベタベタ感も低い。形成は比較的しやすく、道具や手を濡らすことで張り付きは抑えられる。
硬化後の堅さは、理想的な「ウェーブ軽量」に比べ堅い。「カチンカチン」である。ただ、ナイフの刃が立たない堅さというワケではなく作業性には支障がない。ただし、堅い分だけナイフを入れた以上にこぼれてしまう場合があるのは事実。
キメの程度も「ウェーブ軽量」には劣るが問題無いレベル。

些細なことではあるが、「ウェーブ軽量」は60g入りで2本の長いブロック状のAB剤が入っているが、タミヤエポキシパテは25g入りでAB剤がガムのような細長いシート状になっている。エポキシパテは同分量でAB剤を混合するわけだが、タミヤの方が圧倒的に楽。
堅い物ではないので、カッターで切り落とそうとすると全体がグニャリとつぶれ元の袋に入れにくくなるウェーブに比べ、タミヤはハサミでチョキッとやればOK(極力表面の酸化/乾燥を防ぎたいので袋に密閉して保管したいので)。作業性が良く、パッと出してパッと使える。


さて、総括するが、正直言って一口に「エポキシパテ」と言ってこれほど違う物だとは私自身も思わなかった。
「どれも同じだろう。」と私自身も思っていたわけだが、今回の一連の経験で、「こうも違うんだ。」と思い知った次第である。
もし、手元にエポキシパテがあって、固有の思い、「使いにくいんだよねー」、「堅すぎて削れないからー」と思っているあなた!間違った商品つかんで、思い込んじゃってるんじゃないですか?
エポパテってこうも違うんですよ。これから使うって言う人は、調査してから買いましょうね!
このブログが一助になってくれたらうれしいです。


まあ、エポキシパテなんて、造形を作り出そうとしなければそれほど必要なアイテムではないのかも知れないし、みんながみんな使っている物でもないだろうと思います。
でも、わたしも、今回色々とエポパテを使ってみて、非常に面白い経験をしているんです。「造形」って本当に面白い作業ですよ。ぜひ挑戦してみてください。

あー、「子供の頃から粘土は苦手だったんだ。」っていう人も心配いりません。
私は美術系の学校に行ってましたが、本当に粘土というか、立体造形は大の苦手で、パテでゼロから形成するなんてことをやろうとは思ってもいませんでした。
そんな私でもこの程度の物は作れるんです。貴方はきっともっと上手に出来ますよ。

エポキシパテで遊んでみませんか?

[エポキシパテ] ブログ村キーワード

関連ブログお探しの方はこちらからどうぞ。

にほんブログ村 コレクションブログ プラモデルへ にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ

4 件のコメント:

  1. 最後のタミヤエポパテしか使ったことなかったですが結構いいものだったんですね!確かに、不自由は感じたことないです。と言っても腕を作るくらいしかしたことないですがw
    セメダインの青色のパテはプラモつくろうという番組で土井さんがタイガー後期型のツィンメリットを再現するのに使ってたと思います。
    おそらくツィンメリットはコーティングローラーでやられていたので、弾力があるという点でコーティングには使いやすいのかもしれません!

    返信削除
  2. TAKERUさんコメントありがとうございます。
    20数年前はツェメリットコーティングといったら、タミヤパテ(ラッカー系)くらいしか選択肢はありませんでしたね。
    ラッカー系でももちろん作れますが、「間違えたときの修正のしやすさ」、「作業時間の延長」を考えて、エポキシパテという選択だったのではないかと思います。
    ローラーでの押しつけを考えると、ラッカー、ポリエステルだと、くっついてうまくいかないのかも。
    私は一押しとしてタミヤを選びましたが、「どのエポキシパテを選択するか?」は好みの問題も大いにあると思います。それほど高い物でもないので、違うタイプの物に手を出してみるのも、なかなか楽しいと思いますよ(ババ引いて買い直す羽目になる場合もあります(^^;))。

    返信削除
  3. FPSOPさんは、フィギュアの顔にはどこのメーカーのエポキシパテを使用していますか?

    返信削除
    返信
    1. azuminoryotaさん、いつもありがとうございます。
      一応どんなパテでもひと通り使ってみて、自分に合うものを見つけるのがお勧めです。
      現在私が使用しているのは、「ウェーブエポキシパテ(軽量タイプ)」と、「タミヤエポキシパテ(速乾タイプ)」ですかね。
      記事中にもある通り、ウェーブは大変魅力的ですが、手につきやすく、また硬化後の硬さがそれほど高くないため、硬化後の作業中にディテールが壊れていく心配もあります。1/35などの小型ヘッドの場合、ディテールが壊れるのは致命的なので、やっぱりおすすめは、タミヤということになるかもしれませんね。
      タミヤは、全般的に優れているのですが、硬化後の硬さがコチンコチンで、削る処理をするのが面倒です。効果までの時間はたっぷりあるので、削らないことを前提に作業を進めるのがいいかもしれません。
      とりあえず、タミヤとウェーブを揃えて、平行して試してみてはどうでしょうか?
      些細ですが違いを感じることができれば、次のステップ、次の商品へ自分で模索できると思いますよ。

      削除