2012年1月16日月曜日

戦略、「組立と塗装」

前回、 あまりパッとしない接着の話を書いたわけだが、 「接着した後、塗装」 ということになる。
実は、「接着のテクニックは、「接着/組み立て」のテクニックの話ではなく、「組み立て/塗装」の戦略の問題が重要だ。」と書くべきであった。

「全部塗装し終わってから組み立てる。」という考え方と「全部組み立ててから塗装する。」という考え方があると仮定しよう。

全部、塗装してから組み立てる。
という手法は、悪くない考え方かも知れない。しかし、この手法の問題点は、
大変塗装しにくい。」
塗装後の接着は強度上やや問題有り。」という点。

ランナー上で塗装すると、パーティングラインの処理が大変難しく、ランナーからの切り離し後に切り離し箇所の修正が当然必要になる。
では、切り離してから塗装すると、どうしても手で持ったり、クリップした部分の塗装が出来ないので、作業を2度以上に分ける必要がある。効率が悪い。
また、塗装後のパーツを接着する際、接着面に塗装面を含んでしまうので、接着よりより剥がれやすい塗装面は強度に影響を与える。
丁寧にやろうと塗装面をカッターなどで剥がしたとしても、今度は「接着のはみ出し」などを後で塗装し直す作業が生まれるだろう。
また、接着による「ズレ」の修復を入れると事実上最初の塗装は完全に無駄になる。
とにかく、作業の効率が悪すぎるのだ。

もう一つは、接着作業のために、塗装した場所を、ペタペタ触り続けないといけないということ。模型用塗料はそれほどの強さを持っている物ではない。
薄く塗れば作業中に塗装が剥げるし、厚く塗れば指紋押し痕の原因となる。
こういったトラブルを修正するには、当然「塗り直し」となるので、さらに作業効率は落ちることになる。
全部塗ってから組み立てる」という考え方には無理があるのかも知れない。

全部組み立てから塗る。
という手法もある。この手法にも問題はある。
事実上、筆が入りにくい複雑な箇所には塗装できない。」こと。

ミリタリーフィギュア程度なら、脇の下から、手にした銃器の内側は常に塗りにくい対象だが、完成後の鑑賞者の視点もある程度、限られてくるので、「塗れない部分は、見えない部分」と、ある程度割り切ることが出来るが、私が今回作っている、バイクのモデルとなるとそうも行かない。
バイクのフレームにエンジンを完全に組んでから塗るのが理想的だと思っていたが、そんなことをしたら、間違いなくフレームの裏側や、筆の入らないエンジンの一部は塗ることが出来ない。
そして、またこういう部分が目立つのだ


では、どうするのか?
結論は両者の中間を取っていくしかない、「組み立てては塗り」、「塗っては組み立て」を繰り返すのだ。
しかし、実際のところ、この判断はかなり難しい

私の考えとしては、出来るだけ「組み立てから塗りたい」。
塗ってから組み立てると、どうしても組み立て部位の修正が入るので、

  1. 塗る
  2. 組み立て
  3. パテ盛り、削りなどの修正
  4. 再塗装

という感じでどうしても手数が多くなる。
組み立てを先に出来れば

  1. 組み立て
  2. パテ盛り、削りなどの修正
  3. 塗装

で済むのだ。上の行程の、塗装で「混色」などを含んでいれば、その回数も増え、色の一致などの難しい問題も増える。

組み立ての段階で考えないといけないことは、「出来るだけ修正の無いように組み立てたい。」というのはもちろん重要だが、「どこまで組み立て、どこまで塗るのか?」という戦略がかなり重要になる。

組み立ての関係で、仕方なく単パーツで塗られたパーツ群。
原因はスプロケット、チェーンパーツを通してから組まないといけないという、
設計上の問題。
改めて考えると、この構造を無視して、
チェーンを切って後から通すという手もあったな。
塗装と組み立て作業の戦略は、作る人によって大きく違うかもしれない。
参考までに、私の手法は、前述の通り「出来るだけ組み立ててから塗りたい」という考え方だ。同時に「見えないところは、塗る必要なし。」とも思っているが、この「見えない」の判断は非常に難しく、後で、「ここが塗れないはずがないー」なんて思うケースもある。そうなると安全なルートを見つけようと、「先塗り部位」が増えることになる。
結果的には、「組んで」「塗り」、「また組んで」「塗り」。を繰り返す事になるが、計画性がないまま雰囲気で塗り進めると、塗り始めてから長時間の組立になったりして、自分の指で塗装を壊す羽目にもなる。
塗り好きな自分はすぐに塗りたい気分になるが、「ちょっとまて!この状態で塗り進んで、次の工程は大丈夫か?」と自分に問いただすように注意している。

フィギュアは基本的に全て組み立ててから塗る方針だが、件の「カルビン・タン」氏は散々細かい迷彩塗装をした後に両腕を接着し、接着部位をパテ修正。塗り直していた。プロ根性はなかなかのものである。

今回は、サーフェイサーの話をするつもりだったのだが、そこまでたどり着かなかった!
初心者向け集中連載、次回は、塗装とサーフェイサー処理の話。

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2 件のコメント:

  1. 凄腕のガンプラモデラーは、全部ランナーから切り離して成型後色別に塗装して、組み立てるそうです。
    ガンプラは、接着剤がいらないのできれいに仕上がるんだとか・・でもそれなりの技量は必要なそうです。
    AFV・・・特にハンビーなんかは塗装と接着の往復ですね。
    全部組み立てると塗れなくなりますから・・・・

    別件ですが、私はアカデミーのハンビー(最新装備型)を買おうと思っているのですが、是非アドバイスなどがあったら教えていただけると助かります。

    長々、失礼しました。

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  2. 麦イチゴさんありがとうございます。ソフトスキンの面白さは「実は全然見えないんだけど、見えるかも知れない。」という部分の多さですね。「やっかい故に面白い」ハードスキン(戦車ね!)には無い面白さがあります。
    アカデミーのハンビー面白いですね。麦イチゴさんにアドバイスできることなんて、私にはありませんよー。こちらで詳細が見られますよ。サンプル塗装ではシェーディング塗装が見られますね!
    ハンビーは「新型/現用」なんて言われていますが、かなり古くから使われてきた車両で、かなりの改良型があります。近年の米軍レポートで「戦死する兵士の状況最多=ハンビー乗車中」という報告があり、ハンビーの装甲は大幅に強化されています。かなりのバリエーションがあり、考証を交えるとかなり面白い作品になるのではないでしょうか?多めのフィギュアといっしょにジオラマなんてどうでしょうか?!
    アカデミーの中身を見ると足回り/基本的な部分はかなりタミヤと似ていますが、無線機周りにはディスプレーを備えていたり、シートも簡易的なものでなくクッションが採用された新型シートです。最大のポイントになるのは両サイドの追加装甲とガンナーの防御用のキューポラ(今はこういう言い方しないのかな?)部分でしょう。
    また、リアハッチも開閉させることが可能なデザインになっており、かなり細かい造形/パーツとなっているようですね。ディテールも細かいので、私がやったような作業無しで、さっくり作れるでしょう。
    凸凹が多いので、ウェザリングが面白くなりそうですね!!
    ブログに登場するのを楽しみにしています。

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